2025年2月、当事務所の倪挺剛・秦鵬飛両弁護士が代理を務めた、世界的に著名なゲーム『ポケモンスター』シリーズとモバイルゲーム『口袋妖怪:复刻』との間の著作権侵害および不正競争行為に関する控訴事件は、広東省高級人民法院の調停のもと、最終的に和解に至りました。
本件は、株式会社ポケモンが『ポケモン』シリーズのIPを保護するために中国国内で初めて提起した訴訟であり、被告らはすでに和解内容を履行し、『法治日報』および『澎湃新聞』に謝罪声明を掲載しました。その中で、被告は問題となったゲーム内において、著名な『ポケモン』シリーズのデザイン要素を多数使用したことを認め、『ポケモン』ゲームの著作権を侵害するとともに、その知名度と評価に便乗したことが不正競争行為に当たると認めました。
2021年12月に株式会社ポケモンより訴訟の委任を受けて以来、当事務所の弁護士は訴訟手続において依頼者の利益を最大限に守るべく尽力し、数年にわたる取り組みの結果、顕著な成果を得ることができました。
本件の第一審では、深圳市中級人民法院が被告企業に対し、株式会社ポケモンに対して人民元1億700万元の損害賠償を命じました。この判決は、中国におけるゲーム著作権侵害事件としては過去最高額の損害賠償命令となっています。
『口袋妖怪:复刻』の宣伝画像
第一審判決では、訴訟対象ゲーム内に登場するポケモンキャラクター、ゲームの主人公、マップなどの核心的な要素が、原告のゲームにおける対応する要素と一つひとつ対応し、かつ類似していると認定されました。また、ゲーム要素の組み合わせによって形成される複数の要素システムが高度に類似、あるいは完全に一致しており、多くの数値体系の設計も一致していることから、プレイヤーのゲーム体験もほぼ同一であるとされました。そのため、被告ゲームと『ポケモン』シリーズゲームの具体的なストーリー的表現は実質的に類似しており、『ポケモン』シリーズの著作権を侵害していると判断されました。さらに、ゲームの運営や宣伝等の行為も『反不正競争法』に違反し、不正競争行為に該当すると認定されました。
本件は複雑かつ大規模な国際的知的財産権紛争案件であり、当事務所の二名の代理人弁護士は、豊富な実務経験と『ポケモン』シリーズに対する深い理解に基づき、被告ゲームの侵害内容、運営体制、収益構造などの事実関係について徹底的に調査を行いました。また、ゲーム著作権の全体的保護、ストーリー性コンテンツの著作権としての保護、不正競争防止法によるゲームIPの商業化権の保護といった、数多くの新規性と難解さを伴う著作権法および競争法上の論点について、第一審および控訴審を通じて詳細かつ綿密な論証を行いました。
現在、中国のゲーム産業が国際市場へと大きく展開している中、国内外の当事者の知的財産権を法の下で平等に保護することは、中国が「知的財産権強国」の建設を推進するうえで重要な要素となっています。当事務所は、世界的に有名なゲーム・アニメIPである「ポケモン」の国境を越えた知的財産保護を成功に導き、関連産業の規範的発展に向けて有益な示範となる事例を提供いたしました。