一、ドラマティック・デジタルスピンオフとは何か(前編)
二、刑事司法の適用(前編)
三、民事上の権利の保護(下篇)
四、著作権及び関連権利保護(次篇)
前述したように、デジタル派生商品の外的形式及び内在価値から見れば、仮想財産に帰属させることができる。「民法典」第一篇総則の第五章民事権利はデータ、ネット仮想財産について、「法律がデータ、ネット仮想財産の保護に対し、規定がある場合には、その規定に従う」という保護総則を定めている。「民法典」第二百四十条、二百四十一条は、「所有者は自己所有の不動産又は動産に対し、法に基づき占有、使用、収益、処分する権利を有する。所有者は、自己所有の不動産又は動産に用益物権と担保物権を設定することができる。用益物権者、担保物権者は権利を行使する際に所有者の権益を損なってはならない」と規定している。「民法典」第三百二十三条は、「用益物権者は他人所有の不働産又は動産に対し、法に基づき占有、使用する及び収益を得る権利を有すると定めており、用益物権について、五つの規定を設けている。それと同時に、「民法典」は、担保物権、質権、留置権、占有に関する規則を規定している。物権法定の基本原則から見れば、ネット仮想財産の権利帰属と処置の法的根拠は債権請求権に基づくものであり、「民法典」物権篇に直接、由来するものではない。
例えば、王氏と広州繁星互信情科技有限会社等とのネット権利侵害責任紛争事件1において、広州インターネット裁判所は第一審において、仮想財産が現行基準に基づき、価値を認定できるデジタル化された新しい種類の財産であり、財産権保護の範囲に属するとした。広義のネット財産とは、ネット上に存在する財産性を有する電磁的記録を含む。目下、法律・法規が仮想財産の権利帰属に対し明確な規定がないので、民事主体の意思自治を十分に尊重し、当事者間の合法的な合意に基づき、関連権利の帰属を認定すべきである。
デジタル派生商品の取引及び共有は、プラットフォームに登録し、アカウントにログインすることが必要となっている。デジタル派生商品の運営サイトのユーザー利用規約、取引規則等の書類が、現在のネット仮想財産の民事権利保護規則となっており、デジタル派生商品の売り手(発行者)と買い手の権利保護の根拠となっている。
(一)登録アカウントの利用規約
ユーザー利用規約には通常、全ての登録したユーザーに、アカウントの使用権のみを有し、アカウントの所有権が運営会社に帰属すると規定している。ユーザーは勝手にアカウントを売買(所有権)、譲渡(使用権)、貸与(流転権)してはならないとされている。例えば、テンセント社は QQ 番号の所有権がテンセントに帰属し、ユーザーは使用することができるが、長期間にわたり、ログインしない場合には、当該番号が自動的に抹消され、運営会社所有になる可能性があると定めている2。例えば、「Bigverse プラットフォームのユーザー利用規約」3は、プラットフォームの使用規則、つまり登録アカウントの使用権に関する規則を目立つ形で(アンダーライン及び太字)で提示しており、約定事由が発生した場合(プラットフォームの使用規則第 1、4、6 条4)、ユーザーは登録アカウントを使用する資格を失う可能性があるとしている。このような場合、裁判所は通常、ユーザー利用規約に従い、プラットフォーム管理行為の正当性及び契約違反に該当するかを判定する。
広州インターネット裁判所は、王氏と広州繁星互信息科技有限会社等とのネット権利侵害責任紛争事件において、王氏が生放送アカウントを王某に貸した行為は、ユーザー利用規約に違反し、契約違反に該当すると判定した。酷 狗 はユーザーの酷 狗 アカウント使用をいつでも制限、凍結又は終了する権利がある。繁星社は双方の約定に従い、相応の措置を取る権利がある。繁星社はアカウント登録者と実際の使用者が一致しないことを発見した後、王鴻雁が引き続き、アカウントを使用することを終止させたことは、契約権の行使に該当し、王氏のアカウント使用権の侵害にならない。また、崔氏と広州網易コンピュータシステム有限会社とのネットサービス契約紛争事件5において、裁判所は、ユーザーアカウントの盗用が網易社のプログラムのバグによるものか、それともユーザーの流出によるものかについて、「最高裁による民事訴訟証拠に関する若干規定」第二条の立証規則に基づき認定すべきであると判定した。網易のログイン方式にバグがなく、かつ合理的な時間(10 時間)内にネットゲームの道具を回収したので、網易が直ちに必要な措置を講じ、ネットサービス契約を履行したとして、契約違反に該当しないと認定した。
上記のユーザーアカウントの使用責任に関する判定規則は、類似規則のあるデジタル派生商品の取引プラットフ ォームにも適用される。ユーザーはプラットフォームを通じて取引する前に、アカウントの使用権規則を明確に把握するために、ユーザー利用規約を熟読する必要がある。それと同時に使用中に重要な操作証拠を残すよう注意を払う必要がある。
(二)プラットフォーム・サービスの取引規則
「蟻鎖デジタル所蔵プラットフォームユーザーサービス協議(2021.12.23バージョン)」を例に、デジタル所蔵サービス取引は主に三者取引規則を規定する。第1.4サービス約定プラットフォームはインターネットとブロックチェーンに基づき、デジタル所蔵品の展示、閲覧、購入、転送、取引紛争処理、注文管理などの情報技術サービスと、デジタル所蔵品の活用シーンに関するアプリケーションサービスを、デジタル所蔵品プラットフォームを含むさまざまな形態で提供する。デジタルコレクションをアリチェーンで保管、管理、簿記、受け渡しなどの保管サービスを行う。取引の相互関係は、売り手とユーザー(購入者および贈与者)であり、前者はプラットフォームでデジタルコレクションを発行し、ユーザーにデジタルコレクションを販売および提供する実体または個人を指す。デジタルコレクションのグラフィック展示、紹介、制作者などの関連情報はすべてパブリッシャーが提供する。すべてのデジタルコレクションのコンテンツと著作権はパブリッシャーが単独で責任を負う。プラットフォームはユーザーが大陸部の住民で満14歳以上、実名で認証されることを要求している(3者が「デジタルプラットフォーム」に参加するためのフローチャートの後)。同様のルールでは、デジタルコレクション自体の販売は、著作権の販売には結びつかないことに注意が必要です(著作権に関する内容は第4部で述べます)。
(三)プラットフォームサービスの法律適用
デジタル・コレクションは、一般的な電子商取引プラットフォームで販売される商品と違うので、デジタル・コレクションのプラットフォームの提供している機能は一般的な電子商取引プラットフォームの販売機能と、必ずしも同等ではない。具体的にその区別を分析する必要がある。
「電子商取引法」第二条の規定及び全国人民代表大会の関連責任者が「電子商取引法」に関する記者質問への回答によると、電子商取引とは、インターネット等の情報ネットワークを通じて商品を販売したり、サービスを提供したりする経営活働を指す。金融関連商品及びサービス、情報ネットワークを利用してニュース情報、音声・動画番組の提供、出版、文化的製品等の関連サービスは、「電子商取引法」の調整対象に該当しない。
文化的製品の定義については、「文化的製品及びサービス輸出指導目録」(2012.2.1 発布)を参考にすることができる。その内、外的形式において、デジタル派生商品と類似する文化的製品は、次のようなものである。「アニメ製品は創作を核心とし、図書、新聞、映画、テレビ、音盤製品、舞台、ソフトウェア及び現代情報技術の伝播手段に基づくアニメ新品種等のアニメ製品及び派生商品を含む」。その他のデジタル・コレクションに関連する文化的製品は、「オリジナルの絵画、書道篆刻、彫像彫刻、写真芸術、装置芸術作品及びそれら著作物の権利が許諾された限定複製品、文化財の限定複製品、伝統的な技術を用いた手作りの装飾品等」、「工芸美術」等を含む。
現在の電子商取引分野の法律から見れば、デジタル派生商品は文化的製品に該当し、デジタル派生商品を販売、提供するサービスは、電子商取引法や関連規定ではなく、「民法典」契約編の規定が適用されるべきである。関連するサービスは経営販売、アート作品への使用許諾、エージェント、修復管理、評価保証、オークション鑑定、デザイン創作、生産販売、ブランドライセンス等がある。上述したように、ネット仮想財産に関する規則が明確に規定されていないのD、プラットフォームとユーザーの間でサービス利用規約が重要な評価根拠となっている。著作権の帰属については、電子データ(証拠)規則と著作権法規定が優先的に適用される。
著作権に関連する対象は、既存のデジタル所蔵品を含む既存の著作物の複製による複製品やデジタル化された著作物で、主に著作権者の複製権、展示権、情報ネットワークの伝播権などに関連し、特にユーザー契約の制限規定と著作権法の合理的使用規定の適用に注意を払う。デジタルデリバティブの著作権をめぐる議論について、NFTCNのウェブサイトを例に、法律の規定に基づいて、ユーザー契約を交えて説明してみよう。
(一)合理的使用は不当使用行為の抗弁にならない
著作権侵害事件では、著作権法第24条(適正使用)の規定を援用することが被告側の抗弁理由としてよく用いられる。桂林偉文ナノ材料有限公司とチョ氏の著作権帰属紛争事件23で、北京知的財産権裁判所は「合理的な使用」は前提条件を満たす必要があることを改めて明らかにした。第一に「著作者の名前、作品名を明示し、著作権者が本法に基づいて有するその他の権利を侵害してはならない」。第二に「箇人の学習、研究又は鑑賞のためには、一定の范囲内に限定され、社会公衆に向けられない内部使用でなければならず、使用された作品は公開されてはならない」、第三に「合理的な使用は、著作権者が他人に同様の方法で著作物を使用することによって得られる利益を害してはならない」。
デジタルデリバティブの著作権者は、特定の取引プラットフォームで著作物とその複製を独占的にライセンス販売することによって、業界で認められた商業的な収益モデルであり、未完了の取引の使用は、デジタルデリバティブの複製権、情報ネットワークの伝播権の侵害になる可能性がある。類似デジタル所蔵品の取引サイトのユーザーの合意は、デジタル許可作品、デジタルデリバティブ独立の定義を差别化のルールは24、安値およびカタログ(ユーザー)取引を終え、デジタル作品、派生、譲渡、処分を占めて、使うことのできる権利は、勉强、研究、鑑賞、藏;ただし、知的財産権は、取引行為によって移転または共有されるものではなく、商業目的(知的財産権者の書面による同意を除く)、その他いかなる目的にも使用されてはならない。
デジタルデリバティブの購入者と受贈者のデジタル著作物、デジタルデリバティブに対する権利はオンライン取引行為に基づいており、著作権法第24条(適切な使用)の規定を直接援用して確認することはできない。
(二)著作物のデジタル化行為の法的属性を正確に識別する
「著作権法」第十条第一款第五項は著作財産権の中の複製権について、印刷、コピー、拓本、録音、録画、ダービング・デュープ、デジタル化等の方法によって著作物の一部又は複数部製作する行為を指すと定めている。著作権行使は殆ど、原本の展示又は販売に依存している。著作権者は、著作物の著作権を有すると他、原本の動産も所有している。原本の販売は必ずしも、その複製、実演等を許可することを意味しない。また、著作権の譲渡、著作物の使用許諾は、必ずしも、動産の移転を意味することではない。「著作権法」(2020 年改正)第十条第一款第六項において、「発行」とは、不特定多数の公衆に著作物の原本又は複製品を販売又は贈与の形で提供する行為であり、著作物と著作物の有体物媒体を同時に提供する行為であると定めている8。発行権は「初回販売原則」の制限を受ける。
このような売買サイトで、販売者が不特定多数の公衆に著作物を提供する行為を「発行」に該当し、同時に著作権者の複製権、発行権の規制、保護を受ける可能性がある。デジタル・コレクションの取引において、売り手が不特定の公衆に著作物の複製品を提供する行為に該当するかそれとも不特定の公衆に著作物を提供する行為に該当するかは、デジタル・コレクションの形成に基づき、認定する必要がある。デジタルアート作品には二種類の創作方法がある。一つは、創作者が直接コンピュータ等のデジタル端末を利用してデジタル創作を行った後、NFT 技術を利用して暗号化を行う方法である。もう一つは、オフラインのアート作品をデジタル写真、動画、3D 動画等を通じてデジタル化した後、NFT 技術を利用して暗号化を行う方法である。特定のデータ情報をデジタル化して展示することが、NFT 技術を利用した暗号化資産の本質である。
第一種の場合では、デジタルコレクション自体が著作物の原本(Original copy of a work)であるが、必ずオリジナル作品(Original work)であるとは限らないと考えられる。著作物の原本とは、創作として初めて固定された時の物質的形式を保留した作品である9。第二種の場合、オフラインのアート作品のデジタル化は、著作権者による複製権の行使である。NFT を利用して形成されたデジタル派生商品が、著作物の複製を構成する場合には、著作権者による複製権の行使に該当する。発行行為の要件を満たせば、発行権の保護と規制を受ける。デジタル・コレクションの権利保護、特に限定販売する場合には、アート作品原本の特殊規則に従い実施されることが妥当である。
(三)デジタル派生商品が先行著作権者の権利を尊重する必要がある
実演に関わるデジタル派生商品は、舞台演出特有の要素が含まれている。例えば、キャラクター、舞台セット、道具、音楽等がある。独立して著作品の各演出要素を形成し、如何なる形であれ、デジタル派生商品を形成する場合には、著作権法における実演に関する規制・規範を遵守する必要がある。例えば、キャラクターの舞台衣装を着た平面/立体アニメキャラターを含んだ NFT 製品を販売する場合には、服飾デザインの翻案権に関わる可能性があり、服飾デザインの権利者の許可を得る必要がある。